小さい頃に図書館で読んでいたズッコケ三人組シリーズ。
これを聞くと懐かしいと思う方も多いんじゃないでしょうか。
ハチベエ、モーちゃん、ハカセの三人組が身近な街を舞台に織りなす爽快な冒険劇は子供のときにワクワクしながら読んでいた記憶があります。
そして大人になった今、タイトルに惹かれて読んでみた「うわさのズッコケ株式会社」。
シリーズ作品はけっこう読んだつもりでしたが、こんな作品があったのか! と思いながら手に取り、何気なく読んでみるとこれが衝撃で、とてもすばらしい本でした。
経営・お金・株式の仕組みがわかる初心者向けの入門書としてぴったりの おすすめの本なのでご紹介します。
あらすじ
釣り客で賑わう港で弁当や飲み物を売れば商売になるんじゃないかと考えた3人組。
お小遣いから数千円で小さく事業をスタートし大成功。
事業を拡大するために今度は株式会社を設立し、クラスに株券を発行して、みんなからお金を集めます。
商店街で安く商品を仕入れ、放課後に株主総会を行い、注文をスムーズに受けるためのトランシーバーを買うための設備投資のために増資を行ったりと、順調に見えた事業も途中で、釣りシーズンの季節が終わってマーケットが衰退。
クラスメイトの株主からの不安の声に焦りもありつつ、今度は学園祭の新規事業に手を出していきます。
規模は小さくても仕組みは同じでわかりやすい
動くお金の額は数千円から数万円と、現実に比べて小さいのですが、しくみは同じなのでわかりやすくお金の流れを知ることができます。
売掛け金、借り入れ金、利子、出資金、利益、資本金もしっかり出てきます。
内容は基礎的なことなのですが、普通に働いているとなかなかお金の話は意識しません。
それが学校の1つのクラスと釣り客が賑わう港の中に全て凝縮されて、お金のやりとりが発生しているのでイメージしやすく「へーっ!」って思えることも多いはず。
株式会社のメリット・デメリット、商売の大変さを痛感できます。
お金の本質を考えさせられる
物語形式でわかりやすく経済について教えてくれる本はなかなかなくてここまででもすでに充分すぎる内容なのですが、この本の真髄はこれだけではありません。
児童書だけど一気に大人も読める深みのある本にたらしめる理由。それが単なるお金儲けの話には収まらない、お金や働くことに対する人生の考え方が登場するところです。
本書では、三人組の猛進な行動力で、お金を稼ぐことの面白さ、苦労しながらも汗水垂らして働く爽快感や充実感を味わう労働の喜びが伝わってきます。
しかし、お金を稼ぐことの大変さにも言及。
あたしもそうだけど、さいしょ、株を買うときは、お金を出せば、遊んでいても、配当金がはいってくるって思ったわよね。でも、あたしたちのお金を元手にして商売してた八谷くんや、山中くん、それに奥田くんや中森くんたち、すごく苦労したのよ。こないだあたしも二日間てつだったけど、びっくりしたわ。お金をかせぐって、たいへんなのよね。だから、あたしは八谷くんが、くたびれたからやめたいっていう気持ち、わかるわ。
一方で、途中、放浪しながら絵を書いて生活している画家が登場するシーンがありました。
有名な画家でお金をたくさんもらえるのに、ギリギリの生活をしていることに疑問を覚えます。
「金のほしくない人間なんて、いるもんか。もしいらないひとなら、なんで、2800万円で、絵を売ったりするんだい。」
「うん、そりゃあ……つぎの絵を描くために旅をするからお金がいるんじゃないのかな。もしほんとにお金がほしかったら、絵を売ったお金で、株を買ったりするんじゃないの。」
「そうだなあ。そういやあ、絵の値だんを決めるのは画廊の社長さんだもんな。あのおじさんは、ただ絵を描いていりゃあ、ごきげんなのかもね。」
「でも、絵を描くためには、どうしてもお金がいる。だからどうしようもなくなったとき、だるまだよりを書く。考えてみたら、あのひとがいちばんお金を、じょうずにつかっているのかもしれないねえ。自分のやりたいように生きて、お金をみんな、そこにつぎこんでいるんだもの。」
お金を稼ぐことは面白い。
だけど儲けに走るだけになって、目的を見失ってはいけない。
視野を広げてくれる児童書を超えた良書。
真面目な起業・経済本につかれた人もぜひ一度読んでみてください。オススメです。
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