【大企業病の事例】身をもって感じた大企業のデメリットとは?【会社を辞めた話 第31話】

この記事の続きです。

仕事がないときのための暇つぶしアイディア集【会社を辞めた話 第30話】

 

1話目はこちらです。

新卒入社した一部上場企業を1年で辞めた話【会社を辞めた話 第1話】

 

僕が新卒で入った2010年は就職氷河期とも言われ、内定率が過去に類を見ない最悪の年でした。

内定取り消しという言葉をいたるところで耳にし、一部上場企業が倒産したり、大手メーカーが人員を整理したりと経済が荒波に揉まれた時期でもありました。

 

そんなさなか、部長のボーナスが減ったとか、早期退職者を募集しているだとかも耳に入るようになってきました。

だからと言って自分には関係ないし、僕の給与が減るわけでもないし、こんな新人にまでしわ寄せが来るなんてことはないだろうと聞き流していました。

 

しかし、この影響は想像以上に大きく、僕のような新人、現場で働くエンジニアにまでしわ寄せが来ることになったのです。

 

過酷な残業

ある日のこと、今日は仕事が忙しく、先輩と会社に残って残業することになりました。

こんな遅い時間になると、だいたい残っているのは現場のエンジニアがほとんどになります。

 

そんなとき、突然エアコンが切れました

誰かが気づいてエアコンのリモコンを見に行きましたが、電源ボタンを押しても動かないようなのです。

 

最初のうちは

「故障かな?」

と話していました。

 

しかし、どうも違うらしいのです。

社内のメールか掲示板で誰かが見たのでしょう。

ザワザワしている中で聞こえたのは、これから定時後はエアコンが消えることになったという話でした。

 

次の日のチーム全体のミーティングで聞かされたのは、会社が赤字でヤバイという話でした。

その中で電気代がかなり圧迫しており、定時後は止めざるを得なくなってしまったとのこと。

そしてそれは、残業代を減らすために早く帰ってほしいということも意味していました。

 

急に降りかかってきたこの状況は、現場で働くエンジニアにとってかなりの重荷となりました。

案件によっては激務のエンジニアもおり、毎日会社で遅くまで残ってスケジュールを維持している人もいるのです。

相手はお客さんであり、定時後にエアコンが止まるからスケジュールを遅らせてほしいと言えるはずもなく、暑い中で必死に、しかも求められてもいない残業をするハメになってしまいました

 

夜と言えども今は夏の真っ只中。

エアコンが止まった瞬間、呼吸するたびに暑い空気が体の中に入ってくるのが感じられます。

止まっていても汗が吹き出てきて、定時後の環境は過酷なものでした。

 

温度調整が必要な機器が置いてあるサーバールームが残業組の唯一のオアシスとなっていました。

 

ルールが増えていく

さらに追い討ちがかかります。

 

残業する場合は部長と課長の承認が必要となりました。

2人からハンコをもらえないと、その日は残業できません。

しかも1日ごとにです。

また余計な仕事がひとつ増えることになってしまいました。

 

そのうえ部長と課長はいつも席にいるとは限りません。

席に帰ってきた瞬間に部長と課長の席に人が集まります。

確かにムダに会社に残って残業代を取る人はいなくなるとは思いますが、なんだか面倒なことになったなあ……。

 

身動きの取りづらい大きな組織

このような大きな組織になると、一度に何千人もの従業員の一人一人を見ていることはできません

だからルールを決めるわけですが、それがまた難しい……。

 

一時期、会社のパソコンから顧客情報が流出したという騒ぎになったことがありました。

名の知られている大企業でそのような不祥事があれば、会社のネームバリューを傷つけ、一度に多くの場所で信頼を失うことになり、会社にとっては大打撃です。

 

そのようなことがないよう、外部に送るメールやファックスも承認が必要になっていました。

 

メールっていつでも手軽に情報が送れるコミュニケーションツールだったはず。

ですが、このルールがなくなった瞬間に、1通でも誤送信があって会社にとって大打撃なら、これくらいの手間をかけてでも問題が発生するリスクを抑えたほうがマシだということでしょうか……。

 

世間に認知された大きな会社になると、少しでもヘタなマネはできない……。

大企業が他より遅れを取る理由にはこれがあります。

 

以下の記事に続きます。

ベンチャーと大企業に入って感じた組織体制や仕事内容の違い【会社を辞めた話 第32話】