採用試験を受けに いざ地方から東京へ【会社を辞めた話 第6話】

この記事の続きです。

母親がこっそりお金を貯めていた理由【会社を辞めた話 第5話】

 

1話目はこちらです。

新卒入社した一部上場企業を1年で辞めた話【会社を辞めた話 第1話】

 

それから親と何度か話をしました。

時間が経つにつれて僕の決心が固いとわかったのか、それからは東京に行くことに納得してくれたようでした

納得したというよりは無理やり頭の中で整理したようすでしたが……。

 

それでも反対されていたことを考えたらもう十分でした。

一度決まってしまってからはもう両親も心を切り替えてくれて、むしろそれからは支援してもらえるようになり、気持ち的にも心強くなったのでした。

 

いざ東京へ

春休みになり、応募した会社に試験を受けに行くことになりました。

もちろん会場は恋い焦がれていた夢の東京

 

ちなみに今まで東京に行ったことは修学旅行と、友達と旅行に行った2回だけ。

一人で行くのはこれが初めてでした。

 

航空機のチケット予約から会場までの電車の乗り継ぎまで全て調べて念入りに準備しました。

不安もありましたが、なぜか心は踊っていました

 

就活のためであったとしても、東京に行けるというだけで遠くへ旅行に行ったときのような高揚感に包まれていました。

 

東京での光景に緊張する

羽田空港からモノレール、電車を乗り継いで都心に着きました。

どうやら着くのが早すぎたようです……

 

まだ3時間余裕があります

万が一のことを考えて早めに着くようにしたのですが、さすがに来るのが早すぎました。

仕方ないので周辺を歩いてみることにしました。

 

こうやってみると前に東京へ来たときは感じませんでしたが、平日のお昼のビジネス街は、旅行で訪れた東京とまた違った風景が広がっていました

 

見渡す限り見たことのない高層ビル、たくさんのビジネスマン、みんな仕事の電話をしていたり、パソコンを片手に先を急いだりしています。

そして自分と同じようにリクルートスーツを来た就活生がたくさんいました。

今まで見たことのない光景に、

東京はすごいなー

と思いました。

 

たくさんの人が移動すればするほど産業が発展していくのだと、どこかで聞いたことがあります。

こうやってビジネスマンが電車に乗ったり、車で行き来したり、歩いたりして、休むことなく世の中が変わっていくことが肌で感じられました。

 

お昼は六本木のサブウェイで食べたのをよく覚えています。

 

周りのどのお店を見ても値段が高い。

周辺を歩いて一番安そうなお店がここでした。

 

夢中でたまごサンドを食べていると、隣にこの近くで働いているであろう女性とその上司と思われる男性の会話が耳に入ってきました。

お昼のついでにミーティングをしているようです。

仕事の話だと思いますが、何やら難しそうな話をしています。

言っていることは聞こえますが内容はさっぱりわかりません。

 

その反対側ではサラリーマンが外人さんとPCをにらめっこしながら英語でミーティングをしていました。

地元で見られない光景に、

やっぱり東京はすごいなー

と思いました。

 

思い返すと、小学校、中学校はせいぜい全校生徒100人くらいの小さな村で生まれました。

考えてみたら幼い頃は同時に100人以上の人を見たことなんてありませんでした

そんなところで生まれて東京へ来ると、同じ日本と思えるはずもありません。

常にみんな動いていて、その中に自分も埋もれているような感覚でした。

一人一人の人間が小さく見えました。

 

僕もこんなふうになるのだろうか。

というよりなれるのだろうか。

 

そんなことを考えていると急に緊張してきました。

あと1時間。

できるだけここで静かに時間をつぶすことにしました。

 

会場に到着

会場へ着くと受付の方に通されました。

大きなビルとエレベーター、内装もきれいです。

雰囲気に飲まれてますます緊張してきました。

 

そこで説明会と、筆記試験を受けました。

手応えはまあまあでした。

試験が終わると遊んでいる余裕もないのですぐに帰宅します。

 

道のりは長い

試験の2日後のことです。

メールで1次試験結果が届きました。

 

おそるおそるメールを開きます。

 

合格

 

やった。

ひとまずホッとしましたが、これで喜ぶ余裕はありませんでした。

どちらかといえば、やっとのことで1次試験が終わったという感覚でした。

 

これであと面接が2、3回あるようです。

まだまだ道のりは長く感じました。

 

今思えば、ここまで来るだけでもずいぶんしんどい思いをしてきました。

進路相談の先生や親にいろいろ言われ、反対を押し切って応募し、東京を往復して、やっとのことでようやく1次試験の合格までこぎつけました。

 

それでもまだ内定のゴールの旗は見えてきません。

気持ち的に少しつらくなってきていました。

 

もちろん体力的にも時間的にもそうだし、一番の問題はお金がかかるということでした。

 

できるだけ出費を減らそうと夜行バスを使っていたのですが、それでも前乗りでホテル代や食費などがかさむとなると、あれこれお金がかかります。

 

そのとき、交通費は親に出してもらっていました。

何回も往復しているにもかかわらず、まだいつ内定がもらえるかもわかりません。

ましてやもともと東京行きは反対されていたのですから、これ以上余計な出費をかけたくないというプレッシャーがありました。

 

できれば早く内定を決めてしまいたいのはもちろんなのですが、そんなすぐに結果が出るはずもありません。

 

大学生はもっとたくさん面接を受けに行っているのか……

推薦してもらえる高専って恵まれてるなあ。

 

とも思い、素直に推薦応募がうらやましくなっていました

そして、田舎から東京に出るのはかなり不利じゃないか、とも思いました。

東京に出るなら大学から関東に出ている人の方が多くの会社を応募できて有利なのは間違いありません。

 

ただここであれこれ考える暇もなく、それよりもそうこうしているうちに今度は4月始めに推薦応募が始まります

これまでに結果を出さなければ推薦で応募せざるをえなくなってしまう……。

 

推薦応募が始まるということは、その時点で自分の行きたい会社に行けなくなるということを意味するのでした。

なんとしてでも3月中に内定を貰わなければ……。

 

それでも次の試験まではじっと待つことしかできません。

焦りだけが日を追うごとに増していくのでした。

 

以下の記事に続きます。

就活で内定をもらった……けど迷う……【会社を辞めた話 第7話】

2 COMMENTS

giovannna

初めまして、ジョヴァンナです。続きを楽しみに読ませていただいてます。
ところで震災の日のエントリーも、続きが気になってました。気が向いたら、続きをお願いします。

sakagami5

>ジョヴァンナ さん
震災のエントリー、実はこのシリーズの途中にあった出来事で、ここにまとめることにしました。
少し先になるかもしれませんが、この後必ず出てきます。
いつも読んでいただいて本当にありがとうございます!m(__)m

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