これからなくなる仕事は? ロボットやAIが働く未来に何が待っているのか、ドラえもんが親切に教えてくれるそうです【中編】

休日の朝からショッピングモール「イオン」に出かけていた のび太くん。最近の身の回りのITの進歩にこれからの仕事や将来が不安になってしまったようです。

これは、あの国民的キャラクター ドラえもんとのび太くんが、ロボットやAIが実用化された未来には何が待っているのかを考えているお話。

 

こちらは中編の記事です。

前編はこちら。

これからなくなる仕事は? ロボットやAIが働く未来に何が待っているのか、ドラえもんが親切に教えてくれるそうです【前編】

 

これから生き残る職業

のび「え、どういうことだい? 大きな変化?」

 

ドラ「そうだよ。これからは今まで以上に大きな変化がやってくるよ。だって明日からいきなり全自動で食物を生産して料理を作ってくれる機械が出てくるわけないじゃないか。少しずつ実験を繰り返しながら実用化されて、少しずつ人間の作業が機械に置き換わっていくんだよ。」

ドラ「ほら、見てごらん。いつの間にか郵便を配達するロボットが作られて今は確証実験が行われるまでになってる。」

ロボットベンチャーのZMP(東京都文京区)、日本郵便、ローソンなどは12月12日、自動走行する宅配ロボットの実証実験を、福島県南相馬市で21日に行うと発表した。郵便局、コンビニ、住宅に見立てた拠点間をロボットが走り、ゆうパックや日用品などを運ぶ。「ユーザーのニーズを把握し、サービス提供へ向けた開発を加速する」(ZMP)という。

「ゆうパック」ロボットが宅配 日本郵便、ローソンなど実証実験 – ITmedia NEWS

 

のび「配達する人がいらなくなっちゃうね。」

 

ドラ「そうさ。でも代わりにこれを開発する人が必要になってくるだろ? 変化の途中で誰かの作業が減るということは誰かの作業が増えているということだよ。キミはその変化の途中に起こる必要な作業の入れ替わりを考えるといいかもね。」

 

のび「うーん、そう考えたらこれからはプログラマーやエンジニアがどんどん必要になってくるということかい?」

 

ドラ「キミもやっと頭が冴えてきたみたいだね。まさしくそうだよ。そして現状ですでに人が足りてない。」

 

のび「プログラマーかあ。僕は機械オンチだし、そもそもあんまり興味がないからなあ。なんか別の世界な気がする……。」

 

ドラ「まあ別に全員が目指さなくてもいいし、興味がないのにやる必要はないけどね。そういえばキミはプラモデルを作るのが好きだったろ? ものづくりを行う仕事には向いてるかもよ。僕とそっくりのロボットを作って宿題をやらせればいいじゃないか。

 

のび「ほんとだ! それなら頑張れる気がするよ!」

 

ドラ「キミはラクしたいことにかけての努力は人一倍 精がみなぎるね。」

ドラ「でもそれはある意味良いことかもしれないね。もっと楽に便利に、危ないことをしなくてもすむように、たくさんの人の努力や、命を失って、今の豊かな社会が形作られたんだからね。人が持ってる怠惰な気持ちや好奇心というDNAが前に進めるキッカケになったのは確かだ。だからキミは何か新しいものを作る才能があるかもしれないよ。」

 

のび「本当かい? じゃあ自動でママにお小遣いをお願いする機械も作ってみようかなあ。」

 

ドラ「キミは調子に乗ると悪知恵が働くクセがあるよね。それはちょっと違うと思うな。」

 

求められるのは新しい「体験」「コンテンツ」

数日後。

 

のび「ねえねえ、ドラえもん。」

 

ドラ「なんだい、のび太くん。」

 

のび「あれから僕も少し考えてみたんだけど、こないだドラえもんが、変化の途中に起こる必要な作業の入れ替わりを考えるといいみたいなことを言ってたよね。」

 

ドラ「うん、言ってたね。」

 

のび「それってさ、もしもだよ。世の中の全ての作業が機械で自動化されちゃって、究極、人間が何もしなくても良くなっちゃったら、これ以上 人間が必要な作業がなくなるんじゃないかい?

 

ドラ「そうかな? 例えばキミはふだん学校に行って勉強してるだろ? じゃあ夏休みになって学校に行かなくなったらどうだい? 次は何をやってる?

 

のび「あ、そうか。昼寝だ!」

 

ドテッ(ドラえもんがころぶ音)

ドラ「キミってヤツは……。他には何をしてる?」

 

のび「そうだなあ、映画を見に行ったり、漫画を読んだり、ゲームをしたり、スマホで YouTube や LINE LIVE を見てるなあ。」

 

ドラ「ほら、そしたら暇つぶしのためのコンテンツが必要になってくるじゃない。人は暇になったらなったでボーッとしてるわけじゃないからね。何か活動するだろ? 旅行やスポーツなどのアクティビティが盛んなのは変わらないだろうし、なにより、今ならネットとスマホさえあればタダでおもしろいものが見られる。それに、お金をかけなくてもタダで面白いものが見られるなら企業が作ったものでなくても個人が作ったもので充分じゃない。」

 

のび「そうか! そういえば、しずかちゃんも YouTube で動画投稿してて人気だったなあ。」

 

ドラ「現にすでに YouTube や LINE LIVE の人気者は一人で数百万人のファンを抱えてるよね。インターネットがあるおかげで誰でも気軽にコンテンツを発信できるようになった。個人が提供側に回れるようになったんだよ。そして面白いものを提供する個人がますます強くなっていくんだよ。」

 

のび「そっか、国民的アイドルの僕ならチャンネル登録100万人はあっという間かもね!」

 

ドラ「節操なくやるんだなあ……。」

ドラ「でもその調子だよ。衣食住や人間が生きていくうえで必要なことはだいたい当たり前のように満たされているんだ。だから今度はいかに人の平均から離れたものを提供できるかがポイントじゃないかな。だからキミは好きなあやとりをやっててもいいんだよ。ニッチな分野であっても、インターネットのおかげで世界中でそれに興味を持っている人みんなをターゲットに発信できるんだから。」

 

のび「あやとりって、そういうことだったのか! それなら僕にもできそうだなあ。」

 

ドラ「うん。これからは知らないことを知れたり、アッと驚いたり、ワクワクしたり、気持ちを高ぶらせてくれたり、人間が快感を覚えるような心 揺さぶられる新しい体験を提供することがますます求められるようになると思うんだ。当たり前に必要な作業はロボットに取られちゃうんだから。」

 

のび「そっかあ。そう考えると、なんか今と違う雰囲気の社会になりそうだなあ。」

 

ロボットやAIにマネできないこと

ドラ「ちょっと新しいことばかり話しすぎたかもね。ロボットにできないこともたくさんあるさ。そういうのは今までとそんな変わらないんじゃないかな。

 

のび「うーん、具体的にはどういったことだい?」

 

ドラ「例えば将棋やチェスのように戦略を考えたり、駒の位置をあるマスからあるマスに移動させるといったような、思考を巡らせる仕事や機械的に行っている仕事は、ロボットやAIのほうが得意だろうね。だけど、感情については大きな差があるんじゃないかな。」

 

のび「人の気持ちに関する部分だね。確かに人間にしか うれしいとかさびしい、つらい、苦しいって感情はないもんね。」

 

ドラ「そう。お茶をしたり、お酒の席でも、周りがみんな人間のコピーロボットだったら、一緒にいてもきっと何か満たされないよね。彼女がロボットでもなんか違うよね。機械より人の手で丹精込めて作った食材のほうが、重宝されたりするよね。これはすべて気持ちに影響を与えるものだよ。」

 

のび「たしかに、しずかちゃんにバレンタインのチョコをもらうときは、ゴディバのチョコのほうが美味しいかもしれないけど、手作りのものが欲しいもんね。手間をかけた感じを満喫したいんだよね。」

 

ドラ「そう。受け取るものは同じでも、なぜか人間らしさのほうを選ぶほうが快感を感じることがあって、手作りとか創作みたいなものがつくようなものは残るんじゃないかな。

 

のび「たしかになあ。それに人が周りにいないとさびしいもんね。僕はいつも怒られてばかりだけど、やっぱりママやパパが好きだし、いなくなったらさびしいよ。ロボットには代わりはできないよ。」

 

ドラ「そうだね。とはいいつつ、ゲームの中の世界の女性を好きになったり、介護施設でお年寄りの話相手にロボットを導入している例もあるから、もしかするといくらかは代わりになるかもしれない。だけどやっぱり生身の人間らしさに勝てないものは多いと思うよ。本物と完全に一緒な100パーセント精巧なロボットができたとしても、ロボットと知った瞬間、気持ちが変わる。ということは代わりはできないということなんだよ。」

 

のび「不思議なものだね。どっちも受け取るものは同じなはずなのに、感じ取り方が違うなんて。」

 

ドラえもん……?

そのときのび太は何か違和感を感じた。何か触れてはいけないドアを押してしまったような……。

 

のび「そういえばドラえもん、キミの場合はどうなんだい? ロボットでありAIでないのかい? 僕は今までキミのことをかけがえのない大親友だと思っていたよ。でもキミには感情はないのかい?」

 

ドラ「いや、そんなことないよ、のび太くん。キミってときどきおもしろいこと言うなあ。」

ドラえもんは振り返ると、のび太に見えないところで薄気味悪い笑みをこぼした。

 

続きはこちら。

これからなくなる仕事は? ロボットやAIが働く未来に何が待っているのか、ドラえもんが親切に教えてくれるそうです【後編】

 

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