休日の朝からショッピングモール「イオン」に出かけていた のび太くん。最近の身の回りのITの進歩にこれからの仕事や将来が不安になってしまったようです。
これは、あの国民的キャラクター ドラえもんとのび太くんが、ロボットやAIが実用化された未来には何が待っているのかを考えているお話。
ロボットやAIによってなくなる仕事とは?
のび「ドラえもおおぉぉぉぉぉん!!!!!」
ドラ「なんだい、せっかくの休日なのに騒がしいなあ……。またジャイアンにいじめられたのかい?」
のび「違うよ。ジャイアンに仕返しをする道具でもないし、テストで0点をとって頭がよくなるクスリを出して欲しいわけでもないよ。」
ドラ「そうかい。珍しいね。いつものパターンと違うなあ。」
のび「それより聞いてよ。さっきしずかちゃんとイオンに行ってたら、レジの一部が無人になってたんだ。自分でバーコードをかざすと商品の値段が出てきて、機械にお金を入れたらちゃんと支払いができたんだ。」
ドラ「それはすごいことじゃないか。未来はますます便利な時代になっていくね。」
のび「うん、それはすごいと思ったんだけど……僕は将来、近くのスーパーで働ければいいやって思ってんたんだ。このままだと僕の将来の仕事がなくなっちゃうよ。だから他になんの仕事を目指せばいいのかわかんなくなっちゃったよ。」
ドラ「なんだ、そんなことかい。あやとり名人にでもなればいいじゃない。」
のび「んもう、適当だなあ! もっと真剣に考えてよ! 僕の未来がかかってるんだからね!! 」
ドラ「いや、本気で言ってるよ。」
ドラ「キミには残念なお知らせかもしれないけどね……スーパーのレジ打ちの仕事は僕の生まれた22世紀には、もうなくなっちゃってるんだよ。」
のび「それは困る!! なんとかしてよ!」
ドラ「あと他にも事務的な作業や機械的な繰り返しの作業に関わる仕事は全てなくなるよ。それを言ったら車や電車の運転や、食べ物や服の生産、住居やビルの建設なんかもそれに入るね。」
のび「ハハッ! まさかね!」
のび「またまたドラえもん、僕を脅すためにそんなでまかせ言っちゃってさ。さすがにそんな突飛なウソは僕でも見抜けるよ。バカだなあ。」
ドラ「キミには心底、呆れ返ってるよ。そんなくだらないウソをついてどうするんだい。」
ドラ「最近のニュースを見てもわかるけど、2018年春からいよいよローソンでは無人で店舗を運用するしくみを導入するそうだよ。ほら見てごらん。」
ローソンは4日、深夜や早朝の午前0時~5時は従業員が接客せずに「無人」で決済できる店舗を来春から導入する、と発表した。首都圏の2~3店舗で実験的に始める予定だ。コンビニエンスストアでは人手不足が目立ってきており、解消のために新型店を導入することにした。
ドラ「今後10年でAIやロボットによって仕事の半分が奪われるなんてことも言われてるけど、ほんとに人間の仕事が機械に奪われていく時代はそこまで来てるんだよ。だって無人の宇宙船を宇宙に飛ばして元の位置まで返って来させることが実現できていて、将棋でAIが人間に勝ってる時代に、毎日の清掃や、メールの返信、レジ打ち、電話対応、製造、みたいな作業はロボットにやらせられないわけがないんだ。」
のび「…………。」
ドラ「どっちがバカかわかったかい?」
これから求められる仕事とは?
のび「うわああぁぁぁーーーん!!」
のび「じゃあ僕は他に何をやればいいって言うんだよ! このままだと無職になっちゃって、しずかちゃんと結婚もできなくなっちゃうよおぉぉ!!! ドラえもんのバカ!!!」
ドラ「落ち着いて、のび太くん。そしたら代わりに生まれる仕事もあるんだよ。よく考えてごらんよ。」
ドラ「君の生まれるもっと昔は、川で洗濯したり、畑で作った野菜をとってきて、火をおこしてかまどでご飯を炊いていた時代があっただろ? そんな時代は人間が生きていくために必ずやらなきゃいけない作業はたくさんあったし、それだけで1日が終わってた。」
ドラ「ところが高度経済成長期で冷蔵庫や洗濯機、電子レンジ、炊飯器、掃除機などが各家庭に普及したことで生活は劇的に変わった。家事の時間は大幅に短縮されたんだよ。だからといって暇になった時間はボーッとしてるわけじゃない。あまった時間は余暇に費やせるようになったんだよ。すると、今度はテレビやラジオ、ゲーム機が普及するだろ? だからそれを製造する人出がいるようになった。それに、キミが今日みたいに休日にはゲームセンターやショッピングに出かけられるようになったから、その運用にも人件を割く必要が出てくる。」
のび「なるほど……。」
ドラ「これから先だって同じだよ。今までは人間が生きるために必ず必要な作業を機械にやらせられるようになって、便利な社会になったんだから、今度はその便利になった社会をいかに自動化させて楽に維持できるようにするか、そのために必要な人間の労働の削減がターゲットになってるだけだよ。」
のび「でもそれなら別に今このままでも十分豊かな暮らしだということじゃないか。僕はなんとなく働いて、なんとなく暮らして、質素に生涯を暮らしていけたらそれでいいな。もうこのままでいいよ。だからスーパーのレジ打ちがなくなるのは困るんだよ。」
ドラ「いやあ、それは望んでも無理なことさ。人間がジッとしてるわけがなくて、誰かが新しいものを開発して、どうしても便利な方向に向かう流れになるのは誰にも止められないわけなんだから。新しい新製品や新サービスが発表されたらワクワクするし、欲しくなるだろ? 常に人間は新しい何かを求めていくし、その流れは変えられないんだ。それにキミだって仕事するなら興味のあることをやりたいだろ? 我慢して働きたくないだろ?」
のび「でもなんでも自動化しちゃったら、みんな仕事を失っていくじゃないか! ガマンして働かなくてもよくなるのはいいけど、今度は使うお金がなくなっちゃうよ!」
ドラ「うーん、仕事がなくなるということは、お金もいらなくなるということだよ。お金はそもそも誰かの価値と誰かの価値を交換するために生まれた。極端な話、ロボットが食物の生産も、魚をとるのも、調理も自動でやってくれて、ソーラーパネルで発電して原動力を確保すれば、人間は働かなくてすむし、誰かの力を借りる必要もなくなるよね。ということは、お金を使う必要もなくなる。まあこれは究極の話だけどね。でもいろいろありつつも少しずつその流れに近づいていくということだよね。」
のび「やった! じゃあ僕は働かなくてもいいんだ! 遊んで暮らせるんだ! わーい!」
ドラ「文脈を端折って都合の良いところだけを引っこ抜く力には恐れ入ったよ。言っとくけど、それは1年後なんかじゃないからね。キミはこれからその暮らしに行き着くまでの大きな変化を、若い働き盛りのときに通っていかなければならないんだ……。キミも自分の頭で考えておいたほうがいいと思うよ。」
のび「え、どういうことだい?」
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