新卒で入社した超有名大企業を1年で辞めた話 その50(最終話・会社で働くってなんだろう)

▼この記事の続きです。

新卒で入社した超有名大企業を1年で辞めた話 その49(転職を決意し、採用面接へ)

2017.08.05

 

▼1話目はこちらです。

新卒で入社した超有名大企業を1年で辞めた話 その1(就職氷河期に巻き込まれた)

2017.03.14

 

次の日、課長と顔を合わせて話をする時間が設けられることになりました。

 

その日は朝からソワソワしていました

課長のほうを見ると忙しそうにしていて、なかなか時間が取れそうにありません。

そしてお昼の少し前、周りに人がいなくなるタイミングを見計らって課長から呼ばれました

 

正式に退職が決まる

改めて退職したいという話をすると、課長はとても優しくしてくれました。

そして、次の会社のことを話すと、激励してくれました

あっけなく退職が今月いっぱいまでと決まりました

 

会社の規則を読むと、1ヶ月前に退職の話をするという決まりになっていたので、次の会社に入社予定のギリギリ1ヶ月前に伝えるのが間に合ったようです。

法律上では14日前に退職を申し出ていれば自分の意思で退職ができるようですが、それだと引き継ぎの時間が足りないということで、退職は1ヶ月前に申し出なければならないという規定を設けている会社が多いみたいです。

 

その後、退職届を渡されて、記入しました。

つい1週間前まで転職しようか悩んでいたのに、今日は退職届を記入しているなんて、人生思い立ったら急に変わってしまうものなんだな、と身をもって実感しました。

 

次のチームのメンバーが集まるタイミングで、僕の退職の話が共有されました。

もちろんみんな驚いていましたが、

「おつかれさま!」

と声をかけてくれる人がいてホッとしました。

 

残りの会社での日々

残りの日は、今までどおり関わっている案件を進めて、キリの良いところでプロジェクトから抜け、あとは必要があれば誰かのサポートなんかをやっていました。

そして、こっそり次の会社で使うプログラミングの勉強もしていました。

 

あと、同期に誘われて飲むことにもなりました。

実は僕の前にも仕事を辞めた同期も何人かいて、一人、また一人と減っていく話をしながら

「いいなー、俺もやめたいなー」

とかそんな話をして、なんとなく最後の時間を過ごしていました。

 

僕はなんせプログラム開発の業務経験はないため、次の会社で必要な勉強に必死で、正直言うと、そのときさびしいという感情に浸っている余裕などありませんでした。

こういうときって去るほうより残されるほうがつらいのだな、と思います。

 

同期はさびしそうにしていて、僕もたしかにさびしいのですが、次のステージでのワクワク感と不安でかき消され、残されるほうがさびしさの感情を一段と噛みしめているように感じます。

それを見ていて、母親の顔が浮かんでいました。

 

1年前に、

「本当に東京に行くんだね?」

と反対されていたところを僕が振り切って行ってしまったこと。

僕はそのとき、ただジャマをされているんじゃないかとしか思っていなかったことが、なんとも浅い考えだったのだろうと知りました。

どうしようもないことでしたが、やはり残されるほうは悲しいものなのです。

今では応援してくれる親に感謝しています。

 

所属チームでの最後の飲み会

最終日は、僕の所属しているチームで飲み会を開いてもらえました。

僕が今後やっていくことをたくさんの人が聞いてくれました。

そして、あとはいつものように楽しく時間が過ぎて行きました。

 

最後は挨拶をして、お礼を言って、気持ちよく送り出していただきました。

本当に感謝しています。

その帰り際、課長に

「一緒に帰ろう」

と言われました。

 

3回目の課長とのタクシーでした。これが最後でした。

何か転機がある大事なときに課長はいつもタクシーで家まで送ってくれ、その中でいつも話を聞いて、次のヒントをもらいました。

 

1回目はチームに入るとき、2回目は仕事で悩んでいるとき。

まさか次の3回目は会社を辞めるときとなるとは思っていませんでした。

最後まで課長は自分と向き合ってくれました。

僕がこれからやっていきたいことをウンウンと頷きながら聞いてくれました。

そして、そこで僕が初めて知ったことがありました。

 

課長の生き方

それは、課長も2度の転職経験があったことです。

そして1度、起業もしたこともあったそうです。

 

「俺もね、実は昔いろいろやってて、起業したこともあってね。けっきょくいろいろあってうまくいかなくて……夢はすっかり諦めたよ。」

「でもいまはこうやって家族ができて、大きい会社に入って課長をやってる……。だからいろいろやってても、いつでも戻ってこれるし、あとから後悔しないように頑張ってね。」

 

僕はそのとき、純粋な気持ちで

「昔のいろいろやっていた頃と、大企業で働いている今、どっちのほうがいいですか……?」

と聞きました。

 

そのとき返ってきた答えは、その課長には珍しくハッキリしていなくて驚きました。

「そうねえ……少なくとも今は幸せだよ。結婚して子供が生まれて、そして安定した会社に勤めて運よく役職を手に入れた。まあそれでも不満は出てきて、将来の不安は常につきまとってるけどね。」

「だけどそれだけが全てじゃないよね。若い頃は自分の叶えたいものがあって、それをひたすら夢見ながら頑張って起業してたあの頃は、今みたいにお金がぜんぜんなかったにも関わらず、不思議なことに今に負けないくらい幸せだった。」

「今はそこそこ良い生活ができるようになって幸せには変わりないけど、昔の夢をあきらめて、今度はあのときに戻りたいと絶対に叶わない夢を見てる。」

叶うと信じた夢を持って、何かに夢中になっているっていうのはほんとに良いよね。

 

会社で働く意味

僕は給料が上がって役職が上がって、良い家庭を作っていくことだけが幸せだと思っていました。

というより、その道しか知りませんでした。

だから、僕の欲しいものを手に入れている課長がなんでこんなことを言うのか、当時の僕にはよくわかりませんでした。

 

だけど選択肢は実は無数にあって、課長はその中のひとつである、結婚して家族を作って安心できる生活を維持するために大企業で勤めるという、選択肢のひとつを選んでいたのだと思います。

 

幸せというのはいろんな角度があるし、何が幸せかは人によって違います。

だから大企業に入るか、それを辞めてベンチャーに入るかという選択は無数にある選択肢のうちのひとつであり、そもそも会社に所属しないというのもまたひとつの立派な選択肢です。

自身の幸せを求める小さなひとつの手段でしかなく、自分で考えて自分が一番正しいと思う方向にいけば良いのです。

 

ITが発達した近年では、誰でも手軽に情報発信ができるようになり、会社に所属しなくても自分のスキルを手軽にお金に変えられるようになり、それで生活する人も増えてきました。

だから、例えば副業OKの会社が増えてきて、優秀な人材を確保しようと会社側も採用に必死になっています。

これからは会社に所属するという働き方ではなくなっていくことも十分考えられます。

 

未来の本当の答えは誰にもわかりませんが、その時代の技術の革新や人々の価値観の変化で、必ず社会は効率の良い方向に向かっていくのだから、このような社会の大きな流れはどう頑張っても逆らえないものだし、そのために今のうちに備えておくことしかできません。

どうせ安心して同じところに居続けることができないこの時代に、少なくとも誰かのために働くことはしなくても良いし、今までよりますます自分のために正直に生きていくことが幸福につながっていくことなのかもしれません。

誰かがこうやっているからとか、誰かがこう言っていたからなんてことは考えず、人と比べることはせずに、自分の思う道を信じて進んでいくことが新たな活路を切り開くためのきっかけとなります。

 

この長い話がもうすぐ終わります。ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございます。

これは僕が体験してきたこと、そしてそのときにたまたま思ってきたことにすぎません。

僕が大企業を辞めたからといって大企業に入ることがよくないわけでもないし、ベンチャーのほうが働きやすいというわけでもありません。

ここで知ったことをひとつの手段として、自分の夢に一番近づける、幸せになれるルートを探し当てていけば良いと考えながら書いたつもりです。

 

こんなやつもいるんだなあ、俺もまだまだ行けるなあ、と次の行動に繋がる足がかりとして、考え方のひとつのリストに加えていただければ幸いです。

 

(完)

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