人に興味を持たせる話術を磨くには？話し上手になるには？紳助が語るテクニックが深い

今は芸能界を引退されている島田紳助さんですが、過去にはあらゆるテレビ番組の司会を務め、しゃべりについては誰しもが認める巧みな話術で視聴者の共感を集めていました。

そんな紳助さんが、過去に吉本のNSCの若手にお笑いについて講義をしたことがあり、そこでは 人に興味を持たせる話術を磨くには？話し上手になるには？ という疑問に対して語っていました。

ここで触れられていた「話が上手くなるテクニック」がタメになる内容だったのでご紹介します。

1 全てを知る必要はない
2 みんなが知ってるか知らないかの微妙なラインを攻める
3 話は30秒を超えたら聞いてくれない
4 一箇所、人より深く知っていれば興味を持ってくれる
5 まとめ
6 関連記事

全てを知る必要はない

これはね、ほんま教えたくなかった。極秘のトリック。

一分野一箇所。例えば野球。

昔ね、いっぺんね、ヤクルトの岡林っていう今コーチやってる、すごいええ球投げるピッチャーやってん。それがゲストに来てんて。で、古田選手がいて。

後半戦でVTRに入ったら岡林がオレに、

「紳助さん、年何回くらい野球場いかはるんですか？そんな忙しいのに野球見る時間あるんですか？」

ってオレに質問するんや。オレがきっちり番組でやるから。

ほんで横で古田くんが

「お前はアホか」

って。

「紳助さん、球場なんか10年くらい来たことあるか！」

って言うてん。

「え？」

っていうねんな。

「え？でも……」

って。

「知らん知らん。ね？紳助さん。知りませんよね？」

って言うたら、

「うん」

って（答えた）。

で、岡林が

「えっ、でもちゃんとできてますやん！」

ほんなら古田くんが、

「だからプロなんや」

と。

そういうことやねん。だから我々は知る必要はないねん。野球マニアちゃうんやから。言うたら興味もないもん。

みんなが知ってるか知らないかの微妙なラインを攻める

大阪で小さな番組に出た。プロ野球のトークテーマがあった。5人出てた。そん中で野球で誰が好きか聞かれたとしよう。

で、（若手を差して）君は野球興味ないとしようや。

誰が好きって言われて君が、「清原」、「金本」って言うたらみんな普通や思うやん。

でも君が阪神の「藤本」って例えば言うとしようや。大阪やったらメジャーすぎるわ。東京やったら藤本がちょうどええねん。大阪やったらもうちょっとマイナーがええねん。みんなが微妙に知ってるか知らんぐらいのな。

赤星の下におる赤松くらいでええかもしれん。その微妙な選手を言うわけ。

「なんで？」って思うやん。

清原って聞いたら「なんで？」って聞かへんねん、みんな。まずな。

「赤松」って言うたとするやろ？東京的に「藤本」って。

そしたら

「えっ、なんで藤本なん？」

って興味持つやろ。

まずこの段階で人よりみんなから聞いてくれるポイントになるわな。

ほんで藤本やったら「なんで？」って聞かれたら、

「だってすごいやん藤本って。高校でどうしてもプロ野球選手になりたかったけどなれへんかったと。ほんで滋賀県の野球専門学校行ってやで。野球専門学校出てもまだプロになれへんかったんすよ。そやから社会人からドラフト入ってやっと阪神入ったんですよ。」

っていう短い言葉で藤本のそのサクセスを語ったとするやんか。

ほなみんなどう思う？

こいつめっちゃ詳しい思うねん。実はこいつ野球知らんかっても。

あと1個は、否定するものを持ってなあかんねん。知らんから。

「なんやお前巨人全然知らんやんけ。」

って言われるやんか。知らんのやから野球。

例えば

「お前赤松のこと熱く語るのに阪神のチームのこと知らんねん。」

とか言われるやん。

そんときにオレたちはそのしゃべりのプロやねんからへりくつを言えばいいのよ。へりくつ、理由を。

オレやったら

「巨人はアカン。巨人はぜんぜん興味ない。背番号も知らんもん。高橋の背番号も知らんで。だって子供のときからオヤジが阪神ファンでガチガチでやな。阪神をいじめる巨人は悪いやつやってずっと洗脳教育されたから巨人の選手、覚えたらあかんと思ってたもん」

という理由があればいいわけよ。

阪神に興味ある。オレは赤松に興味があるんやと。

「ヤツが売れたらオレも売れんねや」みたいな、「なんかダブんねや」みたいな話をすれば、それは野球を知らんヤツにはならへんねん。

話は30秒を超えたら聞いてくれない

残念ながらテレビの世界というのはな、ひとりの人間、1時間もしゃべらしてくれへんねん。

1時間しゃべったらバレんで。こいつ野球のこと知らんて。

残念ながら我々テレビの世界というのは最大30秒や、ひとり。

30秒超えたら人の話を聞けへんねん。

どんなおもろい話をしても30秒超えたら滑ってんのやからな。

人は30秒以上集中できへんねん。

一箇所、人より深く知っていれば興味を持ってくれる

知ってることしかしゃべってへんねん。でも知ってることが一分野一箇所、人より深かったらなんでも知ってると人は勝手に思いはんのよ。

そんなんスーパーマンになれへんで。

漫才の話ちゃうで、今は。タレントの話な。

タレントとしてやっていくならこの分野を増やしていったらいいだけやねん。300年くらい生きんねやったら努力するけど無理や、オレらすぐ死ぬから。こんな短い間にたくさん覚えられへん。

人が知ってることは知る必要はないねん。

ビデオ録画（の操作）なんか覚えようと思わへんねんオレ。ムダ。そんなん誰でもできるんやから。

誰でもできるから誰かに頼んだらええねん。

オレたちは誰にもできへんことをしなあかんねんのやから。

だから知識のドーナツ化やねん。誰でも知ってる真ん中はいらんねん。誰も知らんことをしゃべらなアカンねん。テレビというもんは。

あるやろ？オレらが知ってるようなことテレビでゆっくりしゃべっとったら

「はよしゃべれ、わかっとるんや、うざいねんお前」

って思うやん。

「へー」って思わさなアカンねん。若ければ若いほどええねん。

「なんでお前そんなん知ってんねん」

ってみんな言ってくれるんやから。

学校の勉強なんて役に立たへんねんて。

勉強の賢いこと言われても「へー」って思わへんやろ？

しいたけを熱く語られてみ。

「すげーなお前」

って。

「なんで知ってんねんお前」

ってなんのよ。

そっちのほうが絶対人は興味持つのよ。