この記事の続きです。
1話目はこちらです。
ハッと目が覚めました。
上野駅のそばで腰掛けて、そのまま眠ってしまっていたようです。
30分、もしくは1時間ほど寝ていたように感じます。
周りを見渡すと駅に向かって走っている人たちがたくさんいました。
もしや!
と思って時計を見ると、時間は終電まぎわ。
急いで駅の階段を駆け上がり、ホームに出るとちょうど山手線が来て出発するギリギリで電車に乗ることができました。
(あぶなかった……!)
終電はやはり混雑しています。
奇跡的に席がひとつ空いていてそこへ座ると、ホッとしたのもつかの間、またいつの間にか寝てしまいました。
これが命取りだったのです。
目を覚ますとそこは……
「お客さん! お客さん!」
目を覚ますと駅員さんが僕の目の前にいました。
(うーん……なんだなんだ?!)
どうやら寝過ごしてしまったようです。
「もう電車が車庫に入りますので。」
しまった……。
終点駅に来てしまったことに気づくと、しばらく唖然としていました。
今日は家に帰れないことだけは理解できていました。
ただ、唯一の救いは山手線だったことです。
山手線は輪を書くようにぐるぐる回っているため、都内から離れることはありません。
これが違う路線だったら……都内を離れて別の県まで来ていたかもしれないのですから……。
まったく見ず知らずの土地に来ているよりかは都内から離れていないというだけで、まだ少し安心感はありました。
品川駅で一泊
電車を降りると、そこは品川駅でした。
品川駅は構内が広く、港南口に出ると広いホールのようになっていて、そこにはたくさんのスーツを着たサラリーマンがいました。
おそらくほぼ全員僕のように寝過ごした人たちなのでしょう。
みんな駅の構内の端で座って朝を待っている、自分と同じ戦友なのです。
椅子は全部取られているので、駅の地べたに座っている人や、もう諦めて横になって寝ている人もいました。
パッと見ただけでもおそらくここに100人くらいの家に帰れない人たちが朝を待っているでしょう。
見たこともない光景に圧倒されます。
しかもあろうことか、まだまだ電車は品川駅にやってきて、同じように品川駅で降ろされた仲間がどんどん増えていくのです。
よくよく考えてみれば、あと3、4時間もすればまた始発がやってくるのです。
仕方なく自分も他の人に習って駅の端に座って夜明けを待ちました。
近頃は暖かくなってきたといえども、夜は冷え込みます。
駅の床は冷たく、体育座りでいると、冷たさが床から全身に伝わってきて、体の芯から冷えてきます。
つらい数時間を過ごして、見たこともないくらいガラガラの山手線の始発に乗りました。
お酒のせいか、寝不足のせいか、まだ頭が少しボーッとします。
そのときに感じた朝日のまぶしさがなぜか今でも忘れられません……(笑)
以下の記事に続きます。