北海道で会社を経営しながらロケットを作っている植松努さんという方がいるのですが、この方のTEDというイベントでのスピーチが とてつもなく胸に刺さって感動してしまいました。
世界から「どうせ無理」をなくしたいと願う植松さんの言葉が、非常に共感できて勇気をもらえます。
植松努さんのスピーチをプロフィールや本とあわせて紹介します。
目次
植松努さんのTEDスピーチの動画
以下が YouTube で公開されているスピーチ。
とにかく見たほうが早いです。
Hope invites | Tsutomu Uematsu | TEDxSapporo
植松努さんのプロフィール
当時、47歳の植松努さん。
北海道の赤平という街で、リサイクルに使われるマグネットという機械を作る会社を経営しています。
そしてその会社ではそのかたわらで、ロケットの開発にも取り組んでいます。
でも、植松さんにとっての宇宙開発は夢ではなく、手段に過ぎません。
おばあちゃんとおじいちゃんに教えてもらったこと
おばあちゃんは昔、樺太という島で自動車の会社をやっていて、頑張って働いて豊かに暮らしていたそうです。
しかし、1945年、樺太にソビエト軍が攻めてきてたくさんの人が殺され、おばあちゃんは自分が貯金したお金が紙くずになったことを知りました。
おばあちゃんは、そこで学んだ教訓を幼少期の植松さんに教えてくれたそうです。
「お金は値打ちが変わってしまうものだよ。だからくだらない。お金があったら貯金なんかしないで本を買いなさい。頭に入れなさい。それは誰にも取られないし、新しいことを生み出すんだよ。」
と教えてくれました。
そしておじいちゃんとの1番の思い出は、アポロの月面着陸を一緒にテレビで見たことでした。
僕が覚えてるのはじいちゃんが見たこともないほど喜んでいる姿です。
「ほら見れ〜、ほら見れ〜。」
「人が月行ったぞ。」
「お前も月行けるぞ。」
って喜んでるんです。
そんな喜んでるじいちゃん見たことなかったです。
それから、本屋に行けば宇宙やロケットの本を手に取るようになり、飛行機、ロケットが好きな少年になりました。
中学校の先生が教えてくれた大人の世界
飛行機やロケットの勉強を一生懸命していた植松さん。
ある日、先生が植松さんに教えてくれました。
「そんな夢みたいなことを言ってないでテスト勉強しなさい。」
と言われました。
確かに僕は飛行機、ロケットの勉強はしたけど、学校の勉強はほったらかしだったんです。
なんにもしていませんでした。
そして先生はさらに教えてくれます。
「そもそも宇宙なんていうものはよほど頭が良くないと無理だ。すごくお金がかかるだぞ。だからそれは別世界の話だ。お前なんかにできるわけがない。」
って教えてくれました。
これを聞いて悲しくなった植松さんは考えます。
「夢ってなんだろう?」って。
できそうな夢しか見ちゃダメなんでしょうか?
でも「できるかできないかはいったい誰が決めるんだろう?」って思いました。
「やってみなきゃわかんないはずなのに、やったこともない人が決めるのは変じゃないのかな?」
と思いました。
そして、心配になった植松さんは「いい会社ってなんだろう?」と大人に質問しました。
安定していて、楽をしてお金がもらえるのがいい会社だと言われました。
僕は納得できませんでした。
なぜならば勉強すればするほど能力が身につくはずです。
ところがせっかく身に付けたその能力をなるべく使わないで楽をするために勉強するんだって言われたんです。
「そんなら勉強しなくていいんじゃないの?」と思ってしまったんです。
お金がないと無理な夢は実は誰かがしてくれるサービスに過ぎない
例えば良い車をお金で買うことが出来るのは、どこかで誰かが頑張って作っているからであり、もっと良いものを作ろうと、一生懸命研究して努力している人たちがいるから売ってもらえている。
だから買うことができているだけの話だと植松さんは付け加えます。
実は、お金って大したことないんです。
だって、お金が必要な夢とか、お金がないと無理だっていう夢。
それは実は誰かがしてくれるサービスに過ぎないんです。
これを待ってるだけの話なんです。
そして自分ができなければできないほどしてもらうしかありません。
ってことは生きていくためにどんどんお金がかかってしまうということなんです。
自分の出来ることがあればあるほど、それはしてあげられるから仕事になるかもしれない。
ということは、人間が生きていくうえで大事なことは出来なかったことが出来るようになることなのかもしれない。
植松さんが考えていた「今できないことを追いかけるのが夢」というのはやっぱり正しいのかもしれないと考えるようになりました。
生まれて初めての会社経営
周りの人に理解されずに一人ぼっちになってしまった植松さんでしたが、それでも頑張り続けて、生まれて初めての会社経営が大成功。
年商が10倍ぐらいになりました。
しかし、いい気になって大失敗。
2億円の借金を作りました。
自分のせいだと、ひとりで抱え込みました。
やがて、えげつないことも冷酷なことも出来るようになって、競争相手をやっつけたり陥れたりできるようになりました。
その人にどんな家族がいるかなんてひとつも考えませんでした。
売り上げが増えていくと銀行の人が褒めてくれ、何もかも合理でしか考えられなくなっていました。
人間は生きていくためには自信が必要
そんなときに、ひょんなきっかけから児童施設に行ってボランティアを手伝うことになり、親からひどい目に合った子供たちと出会いました。
そこで男の子が自分の夢を聞かせてくれたのですが、その子の夢は「親ともう一度暮らすこと」だという話を聞いて信じられないと思ったそうです。
「なんでひどい目にあわせた親のことをまだ愛してんの?」
って思いました。
そして、なんも良いことできてないわと思いました。
だって、いくらお金を寄付したとしても、その子を連れて帰ってうちの子にしたとしても、何の解決にもなりません。
なぜならば、その子はまだ親を愛しているからです。
「なんでこんなことが起きるんだろう?」って思いました。
そして自分は何のために人をやっつけてまで金 稼いでんだろうって思いました。
そして、小学校に上がってすぐに担任の先生にものすごく嫌われ、自分の信じていたものが
「どうせ無理」
だと否定された記憶が蘇ってきました。
これは人間の自信と可能性を奪ってしまう最悪の言葉です。
でも、とっても簡単な言葉なんです。
これを唱えるだけで何もしなくて済んでしまうから、とっても楽ちんになれる恐ろしい言葉でもあるんです。
こんな言葉で未来を諦めさせられてしまった人たちは自信を失ってしまうんです。
でも人間は生きていくためにはどうしても自信が必要なんです。
自分の自信を守りたくて、しょうがなく他の人の自信を奪ってしまっているのかもしれないかわいそうな人たちもいるかもしれません。
自信をなくしてしまった人の中には、お金で自信を買うようになって、身を飾るようになったり、またそれを自慢しなければいけなくなったり、そのために人を見下さなければいけなくなってしまったり、また他の人が頑張ったら困るから努力を邪魔するようになってしまう人もいるんです。
「どうせ無理」という言葉をなくしたい
植松さんはこの「どうせ無理」という言葉の恐ろしさを知り、どうしてこんな言葉を覚えるようになったのか考えました。
僕はこの「どうせ無理」。
人間は最初は知らなかったはずだ。
いつ僕たちはこんな言葉を覚えちゃうんだろうって考えたんです。
それが宇宙かなって思ったんです。
宇宙開発はよっぽど頭が良くないとできないし、お金がかかるなんてことを教えてくれるのはやったことのない人たちでした。
宇宙は美しいです。
だから誰もがちっちゃい頃に1回は憧れるんです。
でもみなさんは自分が宇宙開発できると思っていますか?
宇宙なんてよっぽど頭が良くないと、すごくお金がかかるって思い込んでいませんか?
国家事業だと思っていませんか?
誰がそれを教えてくれましたか?
それは、こんなことを教えてくれるのは、やったことがない人なんです。
やったことがない人が適当なやらない言い訳を教えてくれるんです。
植松さんは、「どうせ無理」という言葉がなくなったら、いじめや暴力や戦争、児童虐待がなくなるかもしれないと思い、誰もが「どうせ無理」だと思っている宇宙開発をしてみようと考えました。
できない理由を探すのではなく、できる理由を考える
今では宇宙開発ができるようになり、いろんな研究者が植松さんの会社に実験や研究に来てくれるようになりました。
また年に1万人もの子供たちが修学旅行や見学旅行で植松さんの会社を訪れます。
正直言うと会社、17人しかいないです。
ちょっと大変です(笑)
だけども、ひとりでも多くの子供たちが可能性を奪われなくなったらいいなと僕は思っています。
「どうせ無理」に負けない人が増えて欲しいと願っているそうです。
世界を構成する全ての人間が、「自分なんて……」と思わなくなるだけで世界は救われてしまいます。
今日から1人1人ができる世界の救い方です。
だからぜひ、今日から救ってください。
「自分なんて」って思わないでください。
そしてこれから先、僕らがやっていくべきことは、できない理由を探すことではありません。
できる理由を考えることです。
ただそれだけで世界はきっとあっという間に良くなるんです。
「どうせ無理」に変わる言葉は「だったらこうしてみたら」。
そして最後にこの一言があれば、どんな夢も叶っちゃうよという言葉をプレゼントして終わりにしたいと思います。
それは「だったらこうしてみたらで夢は叶う」なんです。
考えてみてください。
自分の夢を誰かにしゃべったときに、
「いや、それ無理だわ〜」
って言われたら元気なんかなくなります。
でも、
「だったらこうしてみたら? こないだ本屋にこんな本売ってたよ。こないだテレビでこんな番組やってたよ。」
って言われたら、もっと元気がわくじゃないですか。
そのほうが絶対楽しいです。
だからお互いに夢をしゃべって、お互いに
「だったらこうしてみたら?」
って言ってたら、全員の夢が叶ってしまいます。
全員 有名人になっちゃいます。
素晴らしいですね。
終わりに
この話がとても共感できたのと、これを実際に体現してきている人の言葉は重みが違うな〜と深く感銘を受けました。
スピーチにも出ていましたが、何か新しいことを挑戦しようと思ったら、必ずと言っていいほどそれを止めようとする人が出てくるのは僕自身ですら感じます。
僕の周りで成功している人はだいたいそれを押しのけてでもやっちゃう人たちなんですが、それがうまくできる人は一部だと思う。
だいたいの人は周りの悲しい言葉に圧倒されてやる気がなくなってしまうものだと感じていて、それはもったいないし応援する人がもっと増えたらいいな〜とそう感じます。
悲しい言葉をいう人はだいたいやってみたことのない人たちで、そんな言葉がいつしかどんどん感染して移っていって負のスパイラル。
それを植松さんのように自ら行動で示して、プラスに持っていこうとする働きかけが素敵だなと思いながらスピーチを聞いていました。
僕自身も、もっと頑張りたいし、もっと周りの人を応援していけるようになりたいと感じるようになりました。
植松努さんの本「空想教室」
植松努さんが書いた「空想教室」という本では、TEDでのスピーチの内容がさらに深ぼって書かれています。
僕も読んだけど とてもよかった。
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何かにのめり込んで発信している人が好きだ
感動しました!植松さんの存在を教えてくれてありがとう!私もずっと周りに否定されて、自信がなかったんです。勇気が湧いてきました!私の子供たちにも話して聞かせようと思います。また、私も子供たちが「だったらこうしてみたら?」って考えられるような人間になれるよう育てたいと思います。本当にありがとうございました(*゚∀゚*)
> みこりゅう さん
素敵な考え方ですよね!
このブログがきっかけになって嬉しいです!