【寂しい】地方から東京へ引っ越しして、一人暮らしを始めるときの話【会社を辞めた話 第10話】

この記事の続きです。

就職活動における「新卒チケット」の強み。20代で経験しておく価値【会社を辞めた話 第9話】

 

1話目はこちらです。

新卒入社した一部上場企業を1年で辞めた話【会社を辞めた話 第1話】

 

3月下旬、東京へ引っ越しました。

賃貸を借りるのも東京に住むのも初めてでよくわからないので、物件は会社が用意した不動産の方がピックアップした物件から内見もせずに選んでしまいました。

 

そこは都心の中心から少し離れた閑静な住宅街のアパートでした。

しかも新築

都心から離れている分 通勤に時間がかかりますが、その代わり家賃が比較的安く、会社から家賃のほとんどを負担してもらえるということで、新築といってもそこまで大きな負担はありませんでした。

福利厚生が良いということは大手で働いてみて良かったことのひとつです。

 

新築で良かった

やはり新築に選んだのは正解でした。

初めて住む東京。どんなところだろうと不安だったのですが、設備や内装がきれいというだけで安心感があり、親も一安心のようです。

 

引っ越しの手伝いをするために母親が仕事を休んで数日間、東京にきてくれました。

アパートの外観を見ると、さっそく珍しそうに写真を撮っていました

 

家のドアを開けると、新しい匂いがしました。

母親は、新しいキッチンを見て、お風呂を見て、クローゼットの扉を開け閉めしながら、

「これいいなあ、これいいなあ。」

などと言っていました。

 

ベッドや棚を組み立てて家電製品を配置すると、もう生活できるような それらしい感じになりました。

母がスーパーに行って夕食を作ってくれました。

「スーパーも病院もコンビニも近くていいね。」

と言っていました。

 

地元の田舎では何をするにもだいたい車を飛ばさないといけなかったので、そう考えると必要なものがだいたい近くにあるのは驚くのも無理はありません。

 

久しぶりの母親と過ごす時間

次の日、僕は朝から生活に足りないものを買いに外出していました。

夕方頃戻ってくると、母親の変化に気づきました。

 

僕「あれ、なんか髪型変わってない?」

 

母「駅前に安くカットできるお店あったから行ってきたんだよ。」

 

時間が丸一日空いて、どうやら暇すぎたようです(笑)

引っ越しの手伝いといっても実際のところ、1日で十分だったのでした。

 

やることがなくていろいろと周辺を見て回っていたようで、駅の周りについて詳しくなっていました

夜ご飯もすでにできていました。

なんだか少し楽しそうでした。

 

そういえば、小さい頃から会社で働いて、家事をして、ゆっくり時間が空いている母を見かけたことがありませんでした

いつも忙しそうにしていました。

そのクセが染み付いているのでしょう。

何かやっていないと落ち着かないようなのです。

 

それにしても あんなに人の東京行きを心配していたわりに、今や誰よりも東京生活を楽しんでおり、その光景に少し面白おかしくなったのと、なんだか嬉しくなりました

 

母親と過ごす最後の夕食は、スーパーで買った少し高いステーキを焼いてくれました。

それを食べながら、カットのお店で店員さんと話したことを教えてくれました。

 

(こうやって話すの何年振りだろう……。)

 

中学を卒業してから寮生活となった僕は、そういえば母親と2人だけでこんなに長く一緒に過ごすのは久しぶりのことでした。

食べ終わると新しいキッチンでお皿を洗っていました。

 

明日、母親は一人で飛行機で家まで帰るとのことでした。

僕は引っ越しの手続きなどの用事で明日も朝から外出です。

おそらく用事が終わって帰ってくる頃にはもういないでしょう。

 

次の日の朝、出かけるときに、

「もう少しいようか?」

と言われました。

「もう大丈夫。」

と答えました。

 

これで当分会えなくなると思うと胸が痛くなりました。

 

夕方、アパートに帰ると母親はいなくなっていました。

引っ越しの段ボールが片付けられており、テーブルの上には5万円置き手紙がありました。

少ないけど、これで野菜を買って食べること。

 

この数日で、さらに母親の強さと深い愛情には勝てないと実感したのでした。

 

以下の記事に続きます。

【怖い】東京の満員電車に初めて乗ったら地獄絵図だった【会社を辞めた話 第11話】