前回の記事はこちら
前回の記事では FXで勝つためのトレード手法の例と、「トラリピ」というツールを使えば放っておくだけで自動で売買できるという話をしました。
じゃあ実際にこれで運用を始めようと思ったときに、各自の資金量やリスクの許容範囲に合わせて設定値を決める必要があります。
というわけで、ここではトラリピ運用を始めるために必要な設定の計算方法を紹介していきます。
設定例をそのままマネして失敗したり、自分で設定を変更する際に混乱したりしないよう、ぜひここで考え方をおさえておきましょう。
こちらに僕が実際に運用している設定例も書いたので合わせてどうぞ
おすすめトラリピ設定をブログで公開!【リスク抑え目の安全重視型】
目次
運用を始めるために計算が必要なもの
最初にこれから何を求める必要があるのか整理しておくと、
- いくらの値幅ごとにいくつ買うか
- 買った後に いくらまで上がったら売るか
を決める必要があります。
何を言っているかわからない方は、先にトレード手法の概要についての記事をどうぞ
【儲かる?】簡単シンプルなFXで勝てるトレード手法の作り方【長期安定重視ルール】
具体的に例をあげると、
- 100円で1ドル買う → 120円になったら1ドル売る
- 90円で1ドル買う → 110円になったら1ドル売る
- 80円で1ドル買う → 100円になったら1ドル売る
というトレードにしたい場合は、「10円の値幅ごとに1ドル買い、その後20円上がったら売る」という設定にします。
このそれぞれの値を決めていきます。
設定を決める手順
設定は資金量をもとにして、順番に決めていく必要があります。
米ドル/円(USD/JPY)を例にして、設定の計算を行ってみましょう。
少し今までより難しくなりますが、順番に考えていけば大丈夫です。
1. 取引するレンジ幅を決める
最初に どこまで価格が下がることを考慮するか、というところを考えます。
このルールでは下がったら買い、また下がったら買い……を繰り返していくわけですが、ずっと下がり続けていくと、いつか資金が底を尽いてしまいます。
そのため、どこまで下がるかをあらかじめ考慮して設定を決める必要があります。
ここで取引を行う下限と上限を決めます。
以下は過去16年分(2002年8月〜2018年11月)のドル円チャートです。
上のチャートを見て、例えば過去16年の上限と下限である75〜125円の範囲内で今後も動くだろう、と想定して注文を仕掛けることができます。
トラリピでは下がったり上がったりする波をとっていくため、できるだけ激しく動いて、狭い範囲を行ったり来たりする このようなレンジ相場に有利です。
逆に言えば もし仮に一方的に下がったり上がっていくチャートだった場合、トラリピを適用するのは難しいので、そのような銘柄は避けたほうが良いかと思います。
また、仕掛ける範囲は各自の好みで大きくしたり小さく設定するのは自由です。
以下にそれぞれのメリット・デメリットをまとめておきます。
資金を集中させて注文を仕掛けることができるので、利益確定したときに得られる1注文あたりの利益が大きくなります。
ただし、設定した範囲を超えてしまったときに利益が出なくなってしまいます。
想定外の値動きになってしまっても注文を仕掛けた範囲から外れにくくなり、利益を取り続けることができるようになります。
ただし、その場合は広い範囲に仕掛けるために資金が分散して、1注文あたりに取れる利益が小さくなります。
このような利益とリスクのトレードオフを考えながら設定を決めていくことになります。
この性質を応用して、現在の価格がレンジの真ん中あたりだった場合は、レンジの端までいくのに時間がかかるだろうから 利益が出たら少しずつレンジの幅を広げていく、なんてことも考えることができます。
今回は 75〜125円の範囲で進めていくことにします。
2. いくらの値幅ごとに買うか決める
次に、買い注文を入れていく値幅を決めます。
以下は最近(2002年8月〜2018年11月)の米ドル/円(USD/JPY)の日足チャートです。
現在は113円あたりを推移しています。
これを見て自分の好きな値幅に決めればいいんですが、例えば10円ごとの値幅で買い下がっていくことを考えてみましょう。
そうすると、113円、103円、93円……と買い下がっていくことになりますが、これだと113円の次の103円で買えるチャンスはなかなか回ってきません。
ここ数ヶ月を見ても一番下で110円くらいなので、値幅を大きくとるほど、せっかく下がってきたとしても買い場を逃してしまうことが増えてしまいます。
反対に極端に値幅を細かくして0.01円などとすると、1回の取引で使える金額が減ってしまうので、1注文あたりの利益も減ります。細かいほど良いというわけでもありません。
だいたい1日に1回くらいは注文が入るようにしておけば 適度に動きが見えておもしろいのと、キリも良いということで、ここでは2円の値幅で注文を入れてみることにします。
113円、111円、109円……と買い下がっていくことになります。
3. 1回の注文で買える量を計算する
ここまでで、75〜125円の範囲で2円ごとの値幅で買い下がっていくことを決めました。
そして今回のトレードに使える資金が100万円とします。
これらの値から、1回の売買で何ドルずつ買えるか計算できます。
まず、上限の125円から 下限の75円を引くと、
で50円となります。
つまり、この50円の範囲に2円ずつ買い注文を仕掛けていくことになるので、
で、123円、121円、119円……77円、75円と買い下がっていく間に、25回の買い場があるということがわかります。
1ドルあたり125円のときにも買うとすると、全部で26回になります。
ここから資金が100万円で、26回の買い場があることを考慮すると、
で1回あたり平均して38,461円で買えることがわかります。
「平均」と言っているのは、例えば125円で1ドル買うときと、75円で1ドル買うときでは1回あたりの注文にかかる金額が違うためです。
今度は、1回あたり何ドル買うか計算します。
1ドルあたりの値段が125円、123円、121円……77円、75円と買い下がっていったとき、平均値はちょうど真ん中の100円となります。
さきほど計算した1回あたりの平均注文額である38,461円を使って、
で、1回あたり384ドルを購入できるということが計算できました。
4. いくら値上がりしたら売るか決める
最後に買い注文が入ってから、いくら値上がりしたら売るか決めていきます。
これは大きくするほど利益が大きくなりますが、利益確定のチャンスが減ります。逆に小さくするほど利益が小さくなりますが、利益確定のチャンスは増えるので 結果的にそんなに変わらないと思います。
ここでは、買い注文のときと同じように1日あたりの値動きの大きさを参考にして、2円としてみることにします。
計算した設定値のまとめ
以上で設定がまとまりました。
100万円の資金を使って、
買うときは「75〜125円の範囲」を「2円ごと」に「384ドル」。
そして「2円上がったら」売るというふうに決めることができました。
計算が合っているか確かめる
念のため、今回の計算が正しいか確かめてみましょう。
1ドルあたりのレートに384ドルをかけていき、それぞれの注文に必要な金額を出してみます。
1ドルのレート | 384ドル買うのに必要な金額
(1ドルのレート × 384) |
125円 | 48,000円 |
123円 | 47,232円 |
121円 | 46,464円 |
119円 | 45,696円 |
117円 | 44,928円 |
115円 | 44,160円 |
113円 | 43,392円 |
111円 | 42,624円 |
109円 | 41,856円 |
107円 | 41,088円 |
105円 | 40,320円 |
103円 | 39,552円 |
101円 | 38,784円 |
99円 | 38,016円 |
97円 | 37,248円 |
95円 | 36,480円 |
93円 | 35,712円 |
91円 | 34,944円 |
89円 | 34,176円 |
87円 | 33,408円 |
85円 | 32,640円 |
83円 | 31,872円 |
81円 | 31,104円 |
79円 | 30,336円 |
77円 | 29,568円 |
75円 | 28,800円 |
↑ をすべて合計すると、998,400円 |
注文額の合計を計算すると、998,400円となりました。
100万円にきちんと収まっていて問題なさそうですね!
利益を大きくするためには?
あくまでも感覚値なのですが、これでおそらく利回り2, 3パーセントくらいになるかな、と思います。
「あれ、利益は10〜15パーセントくらいって前の記事で言ってたじゃん!」って思った方、いますよね。
また トラリピでは1回の注文量は最低1000通貨からなので、今回 計算した384ドルを適用することができません。
資金を増やすことで対応することができますが、実は口座に資金を追加しなくても もっと大きな資金を動かすしくみがFXにはあります。
次回は今回 計算した設定から、資金効率を大幅に増やす「レバレッジ」について詳しく解説していきます。