こないだ新しく発売された行動経済学が学べる漫画「ヘンテコノミクス」が面白かった!
例えば、2つあったら安い方を選ぶけど3つあったら中間を選ぶとか、1000円から100円の値下げは飛びつくけど1万円から100円の値下げは気にしない、みたいな人間の原理がたくさん読めます。
漫画なので誰でも読みやすいうえに面白い。投資の株価変動やマーケティング、普段の生活にも関わる内容で、良い本でした。
目次
行動経済学【behavioral economics】とは?
今までの経済学は、「人間は必ず合理的な経済行動をするもの」 という前提で構築されてきました。
ところが普段の私たちは、 それでは説明できない非合理なふるまいを多くしています。
行動経済学とは、 従来の経済学では説明しきれない人間の経済行動を人間の心理という視点から解明しようとする新しい経済学です。
例えば「いくつかの選択肢がある中からひとつを選べ」と言われたときに、人は一番合理的なものを選ぼうとする意思を持っています。
例えば、一番値段の安いもの、一番品質の良いものを選びたいと思います。
しかし、実際にフタを開けてみれば、常に一番自分にとって得するものを選ぶわけじゃない。
人の行動には、もっと複雑な原理に従うメカニズムが隠されています。
この原理を明らかにしようとするのが行動経済学です。
人の脳って合理的なようでなんか知らないけど気持ち良さを感じるところが実際の損得とちょっとずれてるんですよね。
ただ商品を安くすれば売れるってわけじゃないし、投資をやったらだいたい失敗するのが人間たらしめていて面白いところ。— さかがみ (@sakagami3) 2017年11月27日
漫画で読めるのでわかりやすい
内容はこんな感じ。
難しい内容が噛み砕かれて書かれていてわかりやすかったです。
しかも漫画なのでイメージしやすい。
ちょっとさわりを学ぶならこれで十分。なにより面白いです。
行動経済学の原理の例
具体的な内容がイメージしやすいように、以下に行動経済学の原理をいくつか抜粋しておきます!
母数によって価値が変わる(感応度逓減性)
例えば、
- 1,000円の食材が300円の割引になる
というのをチラシで見て、わざわざ隣町のスーパーまで買い物に出かけました。
しかし
- 10万円のパソコンが300円の割引になる
というのをチラシで見ても、わざわざ遠くの電気屋まで買いに走りません。
だけど どちらも300円の割引になることは変わらないし、損得で考えたら同じ行動をするはずなのに、実際の行動は違います。
このように、全体の母数の大きさによって、同じ金額を大切に扱ったりないがしろにしたりして、価値を変えてしまう傾向があります。
ついつい真ん中を選んでしまう(極端回避性)
例えば、メニューが
- Aランチ: 2,000円
- Bランチ: 1,000円
だったら、安い方のBランチを選びました。
次にそのお店に来たときに、4,000円のSランチが増えていました。
- Sランチ: 4,000円
- Aランチ: 2,000円
- Bランチ: 1,000円
この場合は「1000円だと安すぎるし、4000円だと高すぎる」と、2,000円のランチを注文してしまいました。
3段階の選択肢になったとたん、一番上や下という極端な選択を外して無難な真ん中を選んでしまう傾向があります。
サービスのプランも3段階があれば、最初は一番安いプランで良いのに真ん中にしてしまいますよね。
本来、高いと言って避ける金額でも選択肢が変わることで、評価が変わってしまうことがあります。
目先の損を嫌う心理(損失回避の法則)
例えばお年玉を貰うとき、
- 確実に10万円がもらえる
- 20万円か0円をくじで決める
のどちらかを選ぶことになったら、確実にもらえる10万円を選びました。
次に、その状態からいくらか引かれることになりました。
確実にマイナス5万円になる
マイナス10万円かマイナス0円かをくじで決める
のどちらかを選ぶことになったら、マイナス0円になる可能性を信じて後者を選んでしまいました。
確実にマイナス5万円になるほうを選べば、手元に必ず5万円が残るはずです。
しかし、プラスになるときは堅実で確実にプラスになる選択をするけど、マイナスになるときは少しでもマイナスになるのが損と考えて冷静な判断でいられなくなってしまいます。
私たちは目の前の損をとにかく避けたいという気持ちが強く、損失が0円になる可能性を最優先に判断しまったのです。
株をやっているとわかりますが、これと同じ心理になってしまうと、結果的に損が大きく利益が少なくなってしまい、負けてしまいます。
基準に引っ張られて、価値が変わる(参照点依存性)
同じ24度の室温でも、夏は涼しく感じ、冬は暖かく感じるといったように、外気温と比較することで感じ方が違います。
このように何か物事を評価する際は、絶対的な価値ではなく、基準となる状態との相対的な比較によって価値を決めてしまうことがあります。
そのため、同じものでも基準が変わることで、価値が全く変わってしまうことがあります。
コンビニのおでんが夏でも置いてあるのは、急に涼しくなったときに体がそれを欲するようになって売れるからだというのも、これに関係していますね。
自分との距離が遠ければ、差を感じない(双曲割引)
もし
- 今、1万円をもらえる
- 1年後に1万と1,000円をもらえる
と聞かれたら、多くの人は前者を選ぶでしょう。
また、利子として1,000円を上乗せするから、
- 今日返す予定の100万円の返済日を1週間後に伸ばしてほしい
- 1年後に返す予定の100万円の返済日を1週間伸ばしてほしい
と言われたときは、どちらも伸ばす期間は同じ1週間ですが、今日の話のほうが承諾するのに迷ってしまいます。1年後の話よりも、今の話のほうを大事に考えてしまいます。
このように、近い将来の変化の方が、遠い将来の変化に比べて大きいと感じてしまう心理傾向があり、時間だけでなく、親密さや物理的な距離に関しても同じ効果が働きます。
まとめ
ここで紹介した原理はほんの一部で、「ヘンテコノミクス」ではこんなことがもっとたくさん描かれています!
ふだん生活していても、この原理を生かしたセールスが街中やインターネットにあふれていることが感じられるので、人間の原理を知っておくことで、余計にお金を支払ってしまったり、無意識のうちに騙されてしまうことが回避できて賢く生きていけるのではないかなと思います!
単純に読み物としても面白いので、興味があればぜひ!