「休むも相場なり」という投資格言がある。
年中、売買を繰り返していたり儲けや損が大きくなっていたりすると、ついつい熱くなってしまい、冷静な判断ができなくなって判断を誤りやすい。だからときどき休んで冷静に相場全体を見つめ直しましょうというものだ。
人はなかなかジッとしていられないもので、やるなと言われてもチャンスを逃したくないあまりに次に儲かる銘柄を探したり、周りも頑張っているんだから何かやっていないとまずいんじゃないかとか、やらなくていいことまで本能のままにやってしまう。仕方ないけど。
これは何も投資だけに限らない。
同じことを毎日繰り返していると、気づいたらどうしても視線が1点に集中してしまうもので、何か必要のないことを考えてしまったり、やってしまったり、周りのことが見えなくなってしまうものだ。
こうして知らないうちに体のどこかが悪くなったり、体調がおかしくなったり、元気がなくなってきたり、周りの人にイライラしてしまったり、前までできていたことができなくなってきたりする。
そんなときにやることはひとつしかない。
「とにかく休む」ということだ。
休むと言ってもいろいろあって、家で寝たりダラダラしたり映画を見たり本を読んだりするのもいいし、旅行に行ったり人と会ったり新しいことを試してみるのもいい。
とにかく今までやっていたことから離れて、それを俯瞰して見られる状態になるのがベストだ。
こう思うのは、僕自身が転職したり ケガで会社をしばらく休んだときに、いつも強制的に「休む」という行為を挟んできたおかげで、そのたびにまた新しい気持ちになって平然たる装いで物事に取り組んでみたときに、今まで見えてなかったところが見えるということが実感できてきたからだ。
今までやってきたことはなんだったんだろうとか、自分のやっていたことは間違っていたんだなーとか、これからはこうしていこうとか、今まで仕事に使っていた脳のある部分を急に使わなくなったことで、代わりにその空いたリソースがこれまでの反省をしてくれるようになるのだ。
テスト勉強をやっていて ぜんぜん頭に入ってこないのに、次の日になるとなぜかスッと問題が解けたりすることがあってそういう感覚に近い。
同じ場所で同じことをやっていると、成長速度はいつか限りなくゼロに近づいていく。
そんなときに、環境を変えたり気持ちを変えたりしてリセットすると、新しい新鮮な気持ちで一から取り組めて、そんなときにまた成長が加速しなおしたりする。
それを行うのに手っ取り早いのが適度に休みを挟むということだ。
なんかこの人ってすごいなー、絶対勝てないなーって思うときがときどきあって、そういう人って決まって適度に休んでいろんな環境でいろんなことをやってきた、というパターンが多い。
このジャンプを何回やってきたかで人の成長具合って決まってくるものなんじゃないかなーとよく思う。
これはどこかで聞いた話なのだけど、あるお菓子工場では、機械のミスでパッケージの中にお菓子が入っていないことがときどきあって、ベルトコンベアで運ばれてくるパッケージの重量を検知してミスを発見するシステムを数千万円かけて作ったそうな。
だけどそのシステムをせっかく導入したというのに、ミスを発見することはなかった。
なぜならベルトコンベアの途中に扇風機で風を送って、軽いパッケージだけを吹き飛ばしてミスを除外することにすでに成功していたからだ。
これと同じように、世の中には視点を変えるだけで あっという間に解決できる事象がいたるところに隠れていて、ただこういうことは渦中にいたら気づくはずがなく、俯瞰して遠くから見ないとわからない。
「休むも相場なり」「休むも仕事なり」「休むも人生なり」なんてことを考えながら、新しい視点や考え方のとっかかりを増やすために積極的に休んでいけばいいと思う。