小さい頃は自分に超能力が備わっているような、なにか特別な存在であることを信じてみたいし、逆に友達と比べてはひけ目を感じたことがあると思う。
そして止まっていても体と心が成長していくのはわかって、切なさや恐れを抱きながら、大きな世界のほんの一部であることをいつしか自覚し、それとなく居場所を見つけて、寂しさをまぎらわしながら毎日を手探りで進んでいくことを受け入れるようになる。
「月曜日の友達」(著者:阿部共実さん)という漫画がすごかったです。
そうやって人生を走りぬけていくうちにすっかり忘れていたあの瑞々しい断片を思い起こすような作品で、まさに現代の文学小説ならぬ文学漫画。
あらすじ
舞台は海の見える小さな田舎町。そこに住む中学生の男の子と女の子から繰り広げられる日常を描いた物語。
みんなが少しずつ大人びてくる中学1年生。
そんな中であどけなさが抜けない女子・水谷茜。
水谷はひょんなことから「俺は超能力が使える!」と
突拍子もないことを言う同級生の男子・月野透と
校庭で会う約束をする。決まって月曜日の夜に。
大人と子供のはざまのひとときの輝きを描く、
まばゆく、胸がしめつけられるガールミーツボーイ物語。
漫画というより文学小説を読んでいるかのよう
吹き出しひとつひとつが詩を読んでいるかのようで真新しさを感じる。
この作風、地味に流行りそう。だけどこの雰囲気はなかなかマネできない。
友達関係、恋愛、周りの変化、大人への転換。
家庭と学校がすべてで、自分が何なのかまだわからない息苦しくて落ち着かない中学生活がリアル。
なんて瑞々しいんだろうってなります。
周りとの劣等感を感じながら、家庭とのすれ違いを抱えながら、自分の居場所を守るために必死な男女。
思春期の正体不明の感情をろ過して濃い部分だけを取り出した密度のある作品。「ああ、これこれ、これなんだよね」と、ガツンとえぐられる。濃い!
多感な時期の内面をこれほどまでに迫った漫画は今まで見たことがなかった。
表現が巧みで直球で言葉が美しいせいなのか、綺麗すぎる言葉もすっと入ってくる。
中学生のときに一度確認できていたことを、大人になってからまた思い出して、凝り固まったしこりをもみほぐしてリセットいくような感覚。
子供から大人への成長の途中で見つけられる人生観。
僕の感じる読んでよかった作品って、考えながら進めるからなかなか読み進められないことが多いんだけど、これもそうで、思わず昔のことを思い出しながら読んでしまいました。
物語の途中からいったいどこまでいくんだろうという感じ。
絵もストーリーも淡々としているけど味があって好き。
個人的にはまた思い出した時にもう一回読むと思う。
熱く愛おしく前向きになれる漫画なので、浸りたいときはぜひ。
「月曜日の友達」はPCやスマホで読めます
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