これ何の番組だろう?
僕が初めて 水曜どうでしょう に出会ったのは、深夜にPCをしながらテレビを付けていたら、たまたまこの番組が流れていたところからだ。
当時はまだこれが 水曜どうでしょう だと認識していなかった、というよりそもそも名前すら知らなかったが、なにかよくわからないけど面白い番組だな、と思った記憶がある。
印象に残っているのが、真っ暗な海岸で寝ながら釣りをしているシーンで、深夜の暗がりの中で、明かりが懐中電灯しかないためタレントの姿はほとんど見えず、黒背景に会話の声と白い字幕が時折入ってくるという衝撃的なシーンだった。
画面はほとんど切り替わらないが、男たちの気の抜けた かけ合いの会話が面白い。
たまに懐中電灯で映るタレントの姿と、会話と文字で飽きずにずっと見ていられるのだ。
後で知ったがこのシーンは「激闘!西表島」という企画でのひとコマだった。
当時ネットサーフィンをしながらなんとなく番組をかけていただけなのに、いつの間にかPCよりテレビのほうに意識が向いていた。
それからこの名前の知らない番組とは定期的に出会うようになり、
「お、またやってる。」
と、たまたま放送されているのを見かけると嬉しくなった。
水曜どうでしょうという名前を知ったのはそのだいぶ後だ。
当時、ある有料動画配信サイトで 北アメリカ大陸を流れるユーコン川を160kmをひたすらカヌーを漕いで下っていくというシリーズが無料で配信されており、たまたまそれを見たところ、あの登場人物、あのテロップの “あの感じ” だった。
これ、水曜どうでしょうって言うんだ。
そのときに見たシリーズはこちら
ほとんどのシーンは男たちがカヌーを漕いで川を下るという画がほとんどだったが、暇になると大泉洋のボヤキが入ったり、途中でものまねを挟んだり、船が転覆しかけたり、夜は現地のツアーのガイドさんが用意した食材を奪ってオリジナル料理をつくってみたり、そしてガイドさんに「もうあいつに食材を渡すな。」と言われたり、なぜかクイズ番組っぽく “ふしぎ発見” をパクってみたり、終始グダグダなのだがこれが不思議と中毒になってしまう。
このシリーズの終わりに近づくと、水曜どうでしょう にすっかりハマってしまっていた。
それからほぼ全てのシリーズを見終えるのは早かった。
今ではもう何周もしている。
ディレクターと出演者のケンカ
水曜どうでしょう のみどころのひとつといえば、もうおなじみなのだが、ディレクターの藤村さんと出演者の大泉洋さんの口喧嘩だ。
だいたいは、藤村さんか大泉さんが相手の不手際に対して不満を言い、それが火種となって言い争いになることが多い。
車中や旅先での口喧嘩を、そしてディレクターの声が入っているにもかかわらず、そのまま放送しまうのがこの番組の醍醐味だ。
普通に大の大人が子供のように喧嘩しているシーンは、まずテレビではなかなかお目にかかれない。
これはキャンピングカーでアラスカの北極圏に突入するという企画での一コマだ。
旅行中、大泉さんがみんなの料理を作る担当だったのだが、藤村さんはその料理がまずいと不満を言い始めたところから始まる。
大泉: なんでそれなのに、簡単に僕の料理がくそまずいって言えるの?
藤村: だってまずかったんだもん(笑)
大泉: まずくないでしょ!
藤村: (鈴井さんに)まずかったよねえ?!
大泉: まずかったよねえじゃないでしょ!
藤村: けるなよ!(笑)
大泉: バカみたいにね、ベーコンを一時間くらい炒ってたわけじゃないの。先にスープの仕込みをしたからカリカリベーコンの入りが遅くなったの。あれはすぐできるでしょ。
藤村: できるよ。オレは朝1分で作ったもん。
大泉: あなたのは(※身振り手振りを使って)ガバーっとやってオラーって出しただけでしょ。
大泉: 僕のはサラダの、あの出来合いのねぇ、レタスの刻んだのの上に僕の刻んだタマネギがのって、さらにその上にカリカリベーコン……
藤村: あれのってたの? タマネギ。
大泉: のってたでしょう!
全員: (笑)
大泉: 君みたいなねぇ、味オンチにねぇ、僕の料理はわからないんだよ!
藤村: のってたんだ!
大泉: のってたでしょう。シャリシャリしてたでしょう?
藤村: のってたっけ? ミスター。
大泉: のってましたよね、ミスター。
鈴井(ミスター): ……
大泉: 食べる資格ないんだよ、君たちに!
大泉: 僕はやるから、黙ってても。余計なこと言わないで! それは釈迦に説法って言うの、そういうの。そして天に向かってつばを吐くって言うんだよ。わかる?
藤村: はい、わかりました。
大泉: 一日考えてるんだから僕は! 君と違って。
藤村: そうだよね(笑)
大泉: 黙ってて見ててもらいたい。
藤村: そうだ、そうだ。失礼なこと言った。
藤村: 僕もちょっと今つい子供の写真を見ててね、帰りてぇなあと思って。なんで帰りたいんだろうと思ったらメシまずいから(笑)
大泉: まず僕もカチンときて口論になって嬉野くんが慌ててカメラをまわし始めたけれどもねぇ。
藤村: そうだね、ごめん(笑)
藤村: 僕もそういうこと言う人間じゃないつもりなんだけども、つい出ちゃったの、口に。雨降ってるし、メシもまずいしってこう口に出ちゃったの! ごめん(笑)
大泉: わかんないよ。どうしてそんな失礼な言葉が出るのか。
藤村: ごめん。ほんとに今謝ってる。
大泉: そうでしょ。バカじゃないの?
藤村: (笑)
このシーンは「北極圏突入 〜アラスカ半島620マイル〜」に収録
大泉さんのボヤキ
大泉さんのボヤキもこの番組になくてはならない魅力の一つになっています。
このボヤキから伝説の回が幾度となく生まれています。
これは昼からワインを飲み、後部座席で体調が悪くなっている大泉さんの車中でのボヤキシーンです。
大泉: もうやめた。俺は昼から飲むのをやめるぞ。あれはよくないんだな。
藤村: あれはよくない。かといって、おまえ昨日の夜だって飲んだんだけど、それでおまえシャワーすら浴びずに。え? 今朝だってシャワーも浴びずに(笑)
大泉: そうなんだよ。だからこれだけ荒々しい髪型を、視聴者にお見せできてるんだよ?
藤村: それでおまえはあれだな、さっき「おい、シャワーを浴びさせろ。」とか、起きしな、俺らに無理なことを言いやがったけど(笑)
大泉: (笑)
大泉: 藤村くん、それじゃあ僕は随分ともう性格破綻じゃないか。昼からワインを飲み、そしてみんなが頑張ってるところ後ろでグースカ寝てだ。そして起きしなに「おい、シャワーを浴びさせろ。」って言ってるのは、そんな最悪なことが藤村くん、無いじゃないか。
藤村: いや、さっき言ったじゃないか。
大泉: いやぁ、そんなこと言った覚えはないよ。僕は。
藤村: え? おぉ、なんだなんだって言ったら、「いや藤村くんオレはね、昨日のシャワーを浴びてないのは、番組のために良かれと思って君やったことなんだぞ。」って、俺に恩着せがましく言ってたじゃないか、そのうえ。
大泉: 僕は良かれと思って、昨日 今日とシャワーを浴びてないんだ。
藤村: 違うだろ? ただ単にワイン飲みすぎてすぐ寝ちまっただけだろう? おまえはさぁ、良かれと思ってやってんのかもしんないけど、番組のために良くはなってないよ。
大泉: おぉ、言ったなついに。僕の行動が迷惑だっていうんだね、藤村くん。だぁれも僕の気持ちがわからないんだなぁ。つらいよ、この番組ではいつだって僕は孤独だよ。
藤村: 確かにあれなんだよね。後ろの席は後ろの席でつらいんだよね。
大泉: つらいぞぉ、きみ。やることなんて無いんだぞ?
藤村: やることないんだから(笑)
大泉: えぇ? 僕がやることもなくだ、後ろでさぁ。よく考えてごらんよ。僕だけだぞ? なんにも役に立たないのは。嬉野くんはカメラを回しだぁ、きみは運転しだぁ、ミスターは地図を見てだ。僕の作業ってなんだよ。何にもねぇだろ?
藤村: なんにもねぇもんだから、昼間っからきみは……
大泉: 昼間っから僕は酒をあおってだ、そして車に乗りだ。酒を飲んだことによって僕はおしっこが近くなりだ。
藤村: 近くなって……(笑)
大泉: えぇ? 「じゃあ、ここでしろ。」なんて乱暴に停められてだよ? ずいぶんな茂みで僕やらされたじゃないか。えぇ? 随分と見られたぞ? ぼくの立ちションを。
藤村: 大泉さん、これ。また近いでしょ、これ入っときますか? サービスエリア。
大泉: いや、まあまあ、じゃ、じゃあ、サービスエリア入っとくかい。
全員: (笑)
鈴井(ミスター): どこのおっさんだよ(笑)
藤村: つらいねえ。
大泉: つらいよ?
藤村: つらい旅だねぇ。やることないってのはつらいんだ(笑)
大泉: やることないってのはねえ、藤村くん、つらいんだよ?
藤村: つらいね(笑)
大泉: そこへきて僕はシャワーも浴びてないわけだから。そらねぇ、起きしなにねぇ、「おい、シャワー浴びさせろ。」と、ゴネるしか僕には無いんだ。そうだろ?
藤村: そうだそうだ(笑)
大泉: ヤマを迎えたなぁ、水曜どうでしょう。
藤村: なんにもしてねぇけど、オレたちまだ(笑)
大泉: よし、降りるぞぉ。オレにだって外に出る権利はあるんだ。
このシリーズはまだDVD化されていませんが、前身となるシリーズに「ヨーロッパ21ヵ国完全制覇」、「ヨーロッパ・リベンジ」があります。